Yielding Embodimentという技法を学びに東京に行ってきた。
今回は、3日間×3回ある基礎トレーニングのうちの一回目。
Yielding Embodimentというのは、ロルフムーブメントのファカルティ(教員)でもある田畑浩良さんが始められたワークで、 Yield(イールド)という委ねる動きを引き出して、構造、動きのパターン、知覚などに変化がもたらされる。
これまでもロルフムーブメントのワークショップを通してイールドの技法には触れてきたし、the Art of Yieldを組み込んでロルフィングの10シリーズを提供し始めてもいる。
それでも今回参加してみようと思ったのは、肚(ハラ)の感覚、クライアントとの間合い、イールドを促すタッチという基本的なことを、今一度確認し、深めたいと思ったからだ。
施術者が肚の感覚としっかり繋がり、施術者とクライアントの間に”ちょうど良い”間合いがあるとき、クライアントの内側からの自発的な変化が生み出される。
その根本にあるものを捉え直し、深めるのに今回のワークショップはとても役立った。
また他の参加者のワークを受けたり観察したりする中で、施術未経験の人であってもクライアントにパワフルな変化を生み出すセッションをしていて、このワークの奥深さや人の変化するポテンシャルに改めて目が開かされる思いがした。
具体的に学んだことの一つは、目の使い方。
施術者がどう目を使うかによって、受け手の状態が変化することも体験を通して理解することができた。
セッションの初めにクライアント役の参加者に歩いてもらって体調を聞いた際、僕が在り方を整え、目の使い方を変えただけで、受け手の身体の緊張がほどけ、フィードバックがまるで違うものに変わった。
最初クライアントに尋ねた時は、肩など何箇所かの強張りが気になるとの返事だったが、こちらが肚の感覚を持ち、目の使い方を変えると、その強張りはほとんど気にならなくなったそうだ。
このことから、最初にクライアントの注意が向いた強張りは、比較的、表面的な現象だったと理解できる。
マッサージテーブルに横たわる前、セッションの最初の段階で、表面的な(状況により揺れ動く)調子よりも、深いところにある(=変化のポテンシャルの大きい)身体の状態に意識を向けることができるのは、ロルファーにも、クライアントにも、有益だろうと考えている。
田畑さんが提供されているこのコースが面白いのは、個別のテクニックよりも、本質的な在り方を基礎コースで学ぶ構成になっていること。
話は逸れるけれど、禅僧の藤田一照さんに学んできた中で、基礎の段階、初めて学ぶ段階から、そこで触れるものが本質や一番大事なエッセンスに通じていることの大切さを教わったことがある。
今回のコースは、それを体現するかのような構成になっている。
ロルフムーブメントのワークショップでは、イールドの技法が根底にある前提で、応用的なテクニックを習っていたが、今回はその前提にある部分にフォーカスを当ててみっちり学んだ形だ。
アプリケーションよりもOSが進化するような学びになっている。